1級ライティング 書き方のコツ (王道編)
- 英検英作文専門添削教室・英検英作文テスト対策
- 2 日前
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英検1級ライティング、どのように対策すれば良いか悩んでいませんか?
英検試験の最難関である1級合格には、小手先のテクニックではなく、総合的な英語力を高める「王道」のアプローチが不可欠です。
このブログでは、英作文の"ハウツーもの"とは一線を画し、**英語総合力を高めながら1級合格を目指すライティングのコツ(王道編)**をお伝えします。
具体的には、「飢餓は克服可能」という内容の英字新聞記事を引用しながら、ライティングのコツを掴み、1級合格を目指すことを目的としています。
この記事が少しでも皆さんの学習の参考になり、英文を読む楽しさをお伝えできれば幸いです。
どうぞ最後までお付き合いください。
このブログの目次
読解力向上と新形式要約問題対策
合格に繋がるライティング:内容編
課題に相応しい語彙力を身につける
採点基準「文法」を意識した表現
「世界で活躍する人材」を目指すライティング
該当記事の筆者紹介
1級合格対策としての読解力向上と新形式要約問題対策
2024年度から導入された新形式英作文問題は、英語の4技能(読む・聴く・書く・話す)をバランス良く評価することを目的としています。
特に、1級要約問題を限られた時間内に内容よく仕上げるには、英作文力に加え、読解力が欠かせません。
英字新聞を読むことで、当然ながら読解力が向上し、要約問題や読解問題の得点アップに繋がり、英検合格に近づくことができます。
また、多読は読解力だけでなく、リスニング力向上にも関係します。一見遠回りに見えるかもしれませんが、英語総合力アップに有効な対策であると考えられます。
合格に向けた1級ライティングのコツ:内容編
今回取り上げる記事(内容は「飢餓は克服可能」)の見出しは、以下の通りです。
“There are so many impossible problems. This one, however, is easy to fix.”
(The New York Times, 2025/06/20, by Mr. Nicholas Kristof)
この文章の流れ(全体像の概略 ⇒ 意見を述べる)は、英検1級英作文問題解答例の第1パラグラフと同じです。 しかも、同解答例で頻繁に用いられる表現(接続詞の挿入)を用いており、1級英作文問題対策として参考になります。
cf : 2025年度第1回試験の1級英作文問題解答例の、第1パラグラフ
“The escalating threat of climate change necessitates rigorous intervention from nations worldwide. Wealthy nations should be more responsible for preventing climate change.”
前述の様に、今回取り上げる記事の内容は「飢餓は克服可能」です。これは、人類全般の課題がTOPICに課せられることの多い英検1級英作文問題の背景知識学習に役立ちます。
一部を記事から引用してみます。
“Every day, we see children plagued by worms that aggravate their malnutrition. Nutrients go to their parasites, not to them.”
plague = 悩ます aggravate = 悪化させる parasite = 寄生虫
“Aid agencies can deworm a child for less than $1 a year. This makes them stronger, less anemic and more likely to attend school. Researchers have even found higher lifetime earnings.”
aid agency = 援助機関 deworm = 寄生虫を駆除する anemic = 貧血の
飢餓問題に対し、子供の寄生虫駆除に焦点を当てた内容です。 英検1級英作文問題のTOPICに課せられそうな、社会問題の背景知識学習に役立ち、英作文内容を充実させる後ろ盾になります。
もう少し引用を続けます。
“In the U.S., we spend considerable sums deworming pets ; every year I spend $170 deworming my dog.”
considerable = かなりの deworm = 寄生虫を駆除する
“Yet, deworming the world's children has never been as high a priority as deworming pets in the West. Malnutrition is a factor in 45 percent of child deaths worldwide. Yet we also see how these deaths can be inexpensively prevented.”
inexpensively = 安価に
西側諸国のペットの寄生虫駆除と、飢餓に苦しむ世界の子供たちの寄生虫駆除を並列し、南北格差問題やモラル問題としての意味も含んでいます。
2025年度第1回試験の1級英作文問題トピックは、「裕福な国が気候変動防止に、より大きな責任を負うべきか」でした。 格差問題に対する知見を深める意味でも、興味深い文章です。
英作文を時間内に書き上げるためにも、内容をグレーにせず、白黒ハッキリしたものにすることも大事です。
次の引用文は、その点で参考になります。
“I suspect that some Americans want to slash humanitarian aid because they think problems like starvation are intractable. Absolutely wrong. We have nifty, elegant and cheap solutions to global hunger. Consider something really simple : deworming.”
suspect = 疑う、思う slash = 削減する starvation = 飢餓 intractable = 手に負えない
「飢餓のような問題は、深刻だが、解決が難しく…」のような複雑な立場で英作文を書くと、内容も複雑になりがちで、書くのが大変難しく時間もかかってしまいます。 「簡単に、人道的に解決できる」というシンプルな考えの方が、書きやすいはずです。 時間配分が難しい英検試験において、シンプルな考え方に基づいた内容の英作文を書くことが重要です。
合格に向けた1級ライティングのコツ:課題に相応しい語彙編
英作文問題のTOPICには、社会問題化している話題が頻繁に取り上げられます。その意味で、英字新聞記事は、採点基準「語彙」で評価される“課題に相応しい語彙”の宝庫と言えるでしょう。
記事の副見出しの中から、そのような語彙をピックアップしてみましょう。
“Malnutrition around the world risks getting worse because of cuts in U.S. aid. There are inexpensive nutritional steps that could save many lives, and some are astonishingly low-tech.”
malnutrition = 栄養失調 cuts in U.S. aid = 米国の援助削減
上記の“low-tech”は、母乳からの栄養補給です。
“Optimal breastfeeding could save up to 800,000 lives a year, with no need for trucks, warehouses or refrigeration.”
optimal = optimum = 最適な breastfeeding = 母乳で育てること warehouse or refrigeration = 倉庫、冷蔵
いかがでしょうか。TOPICの背景知識を含めまして、内容面・語彙面で、ご参考になる部分があれば幸いです。
合格に向けた1級ライティングのコツ:採点基準の文法編
英検英作文の採点基準「文法」では、文章構造がバラエティに富んでいるかどうかが問われます。
文章構造を多様化させる手段として、日本英語検定協会の英作文解答例で頻繁に使われる、無生物主語、分詞構文、動名詞主語の例文を引用してみます。
まず、無生物主語の文章です。
“Malnutrition leaves more than one-fifth of children worldwide stunted, countless millions cognitively impaired and vast numbers weak from anemia.”
“無生物主語 (Malnutrition) leaves + 目的語 + 補語”の構文です。
stunt = 発育を妨げる cognitively impaired = 認知機能が損なわれる anemia = 貧血
countless は、many の言い換えとして便利な語彙です。
次に、分詞構文です。
“Sierra Leone is the first country in Africa to give all pregnant women multiple prenatal vitamins, in effect reducing fetal malnutrition.”
multiple = 複数の、several などの言い換え語彙としても便利です。
prenatal = 出生前の
シエラレオネという国を知る上でも、興味深い文章です。
最後に、動名詞主語です。
“Deworming the world's children has never been as high a priority as deworming pets in the West.”(前述の文章と同じです)
deworm = 寄生虫を駆除する priority = 優先
現在完了形も使われていて、構文の多様化に役立つ文章です。
無生物主語、分詞構文、動名詞主語を組み合わせれば、バラエティに富んだ構文を使った英作文になります。
合格に向けた1級ライティング:出題の目安「世界で活躍する人材」
日本英語検定協会のホームページには、各級の出題目安が記載されています。
1級レベルは、「世界で活躍できる人材の英語力」です。"世界で活躍する人材"には、モラル水準も求められるのかもしれません。
この点から、人道的な内容も含む、記事からの引用を続けます。
“World Bank study estimated that each $1 invested in nutrition yields a return of $23. Try finding a hedge fund with that return.”
yield a return = (報酬を)生み出す
ヘッジファンドを例に挙げ、皮肉に富んだ内容です。 英作文の観点からは、国際機関の調査などを例に挙げるのは、内容に説得力を持たせる常套手段です。
“Investments in nutrition - along with others in vaccine and in treating diarrhea, pneumonia and other ailments - help explain why fewer than half as many children die before the age of 5 now as in 2000.”
diarrhea = 下痢 pneumonia = 肺炎 ailment = 病気
少しの"投資"で、多くの子供たちが救われるはずです。 このような内容を発信できることが、"世界で活躍する人材"に求められます。 ネットなどで、情報の発信が容易になった現在において、優れた英作文力は、重要な武器になるのではないでしょうか。
最後に:該当記事の筆者紹介
最後に、引用した記事を書かれた記者をご紹介いたします。
Mr. Nicholas Kristof という、The New York Times に記事を掲載されている方です(該当の記事は2025/06/20付)。
この方の文章は、分かりやすく、明快で、非常に示唆に富んだ内容です。
彼の記事があれば、いつも楽しみに読んでいます。
お気に入りの記者などがあれば、英文を読む楽しみも増すはずです。
この記事の締めくくりの文章も、非常に印象的です。
“What is most eerie is that malnutrition children don't cry or protest ; they are impassive, with blank faces. That's because the body is fighting to keep the organs functioning and refuses to waste energy on tears or protests. Their heads don't move, but their eyes follow us silently, presumably wondering if we will care enough to ease their pain.
Mr. Trump, will we ?”
eerie = ぞっとするような
impassive = 無感覚な
blank = 表情のない
以上、最後までお付き合い下さり、本当に有難うございました。 少しでも、ご参考になる点があれば嬉しく思います。

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