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英検要約問題で差をつける! 準1級2024-2025年度過去問から読解く言換えの極意

英検のライティングに2024年度から導入された要約問題は、読解力と表現力の両方が試される、まさに総合力が問われる設問です。 特に、英検1級・準1級では「できるだけ自分の言葉で」要約する事が求められており、原文の語彙や表現をそのまま引用するのではなく、いかに効果的に、そして自然に言換えるかが合否を分ける鍵となります。 要約を聞くと、単に文章を短くまとめる事と考えがちですが、英検1級・準1級の要約問題では、原文の論旨を正確に把握した上で、それをいかに「自分の言葉で」再構築できるかが重要です。

このブログでは、2024年度第3回試験と、2025年度第1回の準1級過去問題解答例から、具体的な言換えの事例を分析し、その特徴や傾向、そして効果的な言換えの考え方を深掘りしていきます。


なぜ言換えが重要なのか? 要約問題評価のポイント  

ライティングの要約問題で求められる言換えは、単なる同義語への置き換えではありません。 原文の意図を正確に理解し、それをより簡潔に、的確に伝える為の思考が伴います。


要約問題の評価ポイントには、以下の様な項目が含まれています。 ①内容の正確性:原文の主要な情報や筆者の主張を的確に要約できているか。


②構成と一貫性:要約文が論理的に構成され、一貫性があるか。


③語彙と文法:適切な語彙が使われ、文法的に正確であるか。


④要約の完成度:「自身の言葉」で要約されており、原文からの不要な引用がないか。


この中で、1級、準1級で求められる「自身の言葉」で要約するという点が、まさに言換えの重要性を示しています。


原文をそのまま使う事は、単に情報を抜き出しただけであり、要約という行為が持つ、情報を整理し、再構築する側面を欠いていると判断されかねません。


それでは、過去問題の日本英語検定協会の要約問題解答例から、言換えの傾向を分析してみましょう。


準1級要約問題解答例の言換えの傾向(2024年度第3回試験)

以下に言換え例を列挙します。矢印の左が原文の表現、右が言換えです。


① address ⇒ tackle


② reflect ⇒ redirect


③ believe ⇒ think


④ provide necessary help ⇒ have a favorable effect


⑤ despite this ⇒ yet


⑥ issues ⇒ concerns


⑦ spray ⇒ disperse


⑧ change・・or harm ⇒ have negative effects


⑨ also ⇒ moreover


⑩ point out ⇒ contend


⑪ can not solve ⇒ fail to deal with


⑫ major factor ⇒ root cause


⑬ increasing temperatures ⇒ global warming


これらの言換えは、いくつかのグループに分類する事ができます。


a) 類義語、同義語への言換え (①③⑥⑨⑩)


address を tackle、believe を think、issues を concerns、also を moreover、point out を contendといった言換えは、基本的な類義語、同義語への言換えです。


これは語彙力の幅広さを示す上で非常に有効です。特に、動詞の言換えは、文章全体の印象を左右する為、意識的に語彙を増やす努力が必要です。


b) 抽象的な表現から具体的な表現への言換え、又はその逆 (④⑫⑬) provide necessary help を have a favorable impact、major factor を root cause、increasing temperatures を global warming と置換えているケースです。


provide necessary help はやや漠然とした表現ですが、have a favorable impact とする事で、その助けが具体的にどの様な影響を及ぼすのかを示唆しています。


major factor を root cause とする事で、単なる要因ではなく、根本的な原因である事を示しています。


又、increasing temperatures を global warming とする事で、より一般的な用語で表現しています。


これらには、原文の内容をより的確に、あるいは、分かりやすく表現する意図がみられます。


c) 句動詞やイディオムへの言換え(⑪)


can not slove を fail to deal with と置換える様に、単語でなく句動詞やイディオムに置換えるパターンもあります。これにより、より自然な英語表現に近づける事ができます。


これは、単語レベルではなく、フレーズとしての表現力を高める事が重要である事を示唆しています。


d) 状況説明から結果、影響への言換え (⑧)


change・・or harm を have negative side effects と置換える事例は、原文が示す行為や状況を、その結果や影響に焦点を当てて言換えるものです。これにより、簡潔かつ明確に筆者の主張を伝える事ができます。


e) 接続詞、接続副詞の言換え (⑤)


despite this を yet に置換えるのは、文と文の関係性を表わす接続詞や接続副詞の言換えです。これは、文章全体の論理的な繋がりを維持しつつ、表現の多様性を持たせる為に有効です。

準1級要約問題解答例の言換えの傾向(2025年度第1回試験)


次に、2025年度第1回試験 準1級の要約問題解答例を見てみましょう。


上記同様、矢印の左が原文の語彙や表現、右が要約後の語彙、表現です。


① buildings around it ⇒ multiple buildings


② energy source is connected ⇒ share an energy source


③ increasing around the world ⇒ becoming more common globally


④ say ⇒ claim


⑤ less heat is needed than when heating buildings separately ⇒ more energy efficient


⑥ there is another benefit ⇒ furthermore


⑦ regularly checked and kept in good conditions ⇒ undergo routine maintenance


⑧ make them more reliable. They are unlikely to stop working ⇒ resulting in less likelihood of failure


⑨ despite this ⇒ on the other hand


⑩ point out ⇒ argue


⑪ creating ⇒ installing


⑫ in areas that already have buildings ⇒ with pre-existing buildings


⑬ need a large amount of money ⇒ costly


2024年度第3回試験の傾向と共通する部分も多い一方で、特徴的な言換えも散見されます。

a) 具体性から簡潔性への言換え (①⑤⑦⑧⑬)


buildings around it を multiple buildings、less heat is needed than when heating buildings separately を more energy efficient、regularly checked and kept in good conditions を undergo routine maintenance、make them more reliable. They are unlikely to stop working を resulting in less likelihood of failure、need a large amount of money を costly と置換える事例です。


これは、原文の長い説明を、より短く的確な単語やフレーズで表現するスキルが求められる事を示しています。


特に、less heat is needed・・・の様に文章で説明されているものを、more energy efficient という簡潔な形容詞句で言換えるのは、要約の核となるスキルと言えるでしょう。


b) 動詞の言換えとニュアンスの変化 (④⑩⑪)


say を claim、point out を argue、creating を installing と置換える例です。


say を claim に言換える事で、単に述べただけでなく、ある程度主張や意見を含んでいるニュアンスを出すことができます。


point out を argue とする事で、単に指摘するだけでなく、議論の要素を含んだ主張である事を示唆しています。

(2024年度第3回試験では、point out を contend へ言換えています。)


又、creating を installing とする事で、単なる作成ではなく、具体的な設置行為を指し示すことで、的確な状況描写ができます。


上記の様に、単語を選ぶ際に、原文のニュアンスを考慮すると、言換え表現の選択の幅が広がります。


c) 句全体を別の句で言換える (②③⑥⑫)


energy source is connected を share an energy source、increasing around the world を becoming more common globally、there is another benefit を furthermore、in areas that already have buildings を with pre-existing buildings と置換えている事例です。


これは、単語レベルではなく、句や節全体を別の表現に置換える高度なテクニックです。原文の構造に囚われず、内容を正確に伝える最適な表現を見つける力が試されます。


d) 対比表現の言換え (⑨)


despite this を on the other hand に置換えるのは、逆説や対比を表わす接続詞・接続副詞の言換えで、上記 2024年度第3回試験の ⑤ と同様です。文と文の論理的繋がりを維持しつつ、表現のバリエーションを増やしています。


要約スキルを向上させる言換え時の考え方

これらの事例から、効果的な言換えを行なうための考え方をいくつか導き出す事ができます。

1:コアとなる意味を捉える


まず、原文の語彙や表現が伝えようとしているコアとなる意味を正確に理解する事が不可欠です。


単に類義語を調べるだけでなく、その単語が文脈の中でどの様な役割を果たし、どんなニュアンスを持っているのかを考える必要があります。


2:より簡潔な表現を追求する


要約の目的は、限られた語彙数の中で原文の主要な情報を伝える事です。その為、原文が冗長な表現を使っている場合、より簡潔な語彙やフレーズに置換える事を意識しましょう。


less heat is needed than when heating buildings separately が more energy efficient になるように、説明的なフレーズを形容詞や名詞句に圧縮する練習が有効です。


3:文脈に合せた適切なニュアンスの選択


say と claim、point out と argue や contend の様に、似た意味を持つ単語でも、それぞれが持つニュアンスは異なります。


原文の筆者がどの様な意図でその単語を選んだのかを理解し、ニュアンスを損なわない範囲で、柔軟に言換える事ができれば、言換え語彙選択の幅は広がります。


4:品詞転換や構造変換を意識する


単に単語を置換えるだけでなく、品詞を変えたり、文の構造を変換したりする事で、より効果的な言換えが可能になります。


例えば、動詞を名詞に変えたり、形容詞を副詞に変えたりするだけでなく、主語 + 動詞 の文を名詞句で表現する等、多様な表現方法を模索しましょう。


5:接続詞、接続副詞のバリエーションを増やす


文章の論理的繋がりをスムーズにする接続詞や接続副詞の言換えも重要です。despite this と yet や on the other hand の様に、同じ意味合いでも複数の表現を使い分ければ、文章にリズムを多様性をもたらす事ができます。

要約問題対策としての言換えスキルの学習


要約問題対策としての言換えスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。

日々の学習の中で、以下の様な事項に、意識的に取組む事が重要です。 ①読解中に「言換え」を意識する:英文を読む際、筆者がどの様な表現を使っているか、もし自分で同じ内容を伝えるなら、どの様に表現するかを意識しましょう。 特にアカデミックな記事やニュースを読むときに、筆者の意図を読み取り、それを自分の言葉で説明する練習も効果的です。 ②多読と語学学習の連動:多くの英文に触れる事で、様々な語彙や表現に慣れ親しむ事ができます。


単語帳での学習だけでなく、文脈の中でどの様に使われているかを意識する事が大切です。


③ 英作文での実践:普段の英作文練習でも、言換えを積極的に取り入れてみましょう。同じ内容を複数の表現で書いてみる、という練習は効果的です。


書いた文章をネイティブスピーカーや英語の先生に添削してもらい、より自然な表現を学ぶのもよい方法です。


④ 模範解答の徹底分析:本ブログで紹介した様な模範解答例を、なぜその言換えがなされたのか、という視点で分析しましょう。


自分ならどの様に言換えるか、解答例との違いは何か、等を考察する事で言換えのパターンを学ぶことができます。


要約問題対策としての言換えスキルのまとめ


英検1級、準1級の要約問題で求められる言換えは、単なる語彙の置き換えを越え、原文の論旨を正確に理解し、それを自分の言葉で、より簡潔に、的確に表現する総合的な英語力を問われるものです。


2024 - 2025年度試験の要約問題解答例から見えてきた傾向を参考に、核となる意味の把握、簡潔性の追求、自然な英語表現の選択、ニュアンスの考慮、品詞や構造の変換活用を意識して、学習を進めましょう。


要約問題は、単に語彙力を測るだけでなく、情報を整理し、論理的に思考する力を養う上で有効な学習ツールです。


日々の学習に言換えの視点を取り入れ、英検合格はもちろん、その先の英語学習、思考力向上にも繋げていきましょう。


このブログが、要約問題対策の一助となれば幸いです。


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